2020年初頭から、過去類例のない感染症の脅威が世界各国を震撼させています。状況の深刻化に伴い、自宅隔離、在宅勤務、ソーシャルディスタンスの保持、ロックダウンや国境の封鎖といった人と人との接触を防ぐ政策により、ウイルスの感染拡大は確実に抑えられたとはいえ、人々の生活様式や経済活動にも変化がもたらされました。
ロボット、AI(人工知能)、IoT技術の開発で長年の経験を備えているADLINKは、この世界的な危機の中、スマート医療、スマートシティ、スマートファクトリーの3つの主要分野でのAIoTの普及を推進しています。また、行政や企業が機能を効率的に維持するのを支援し、ウイルス感染から人々を守るソリューションの提供を目指しています。
院内感染のリスクを下げ、医療スタッフの負担を削減するスマート医療ロボット
隔離が必要な感染者や患者数の大量発生で、最初に負担が及ぶのは患者が治療を受ける医療機関です。患者数と対応可能な医療のバランスが崩れれば、通常すでに限界に近づいている医療体制は崩壊の危機を迎えます。今日、病院での文書ファイルや医療用品の管理、検体の配送、院内環境の消毒、衛生管理、清掃、特殊患者の隔離やケアなどの医療ロジスティクスはすべて、多くの人材を必要としています。
現在、最も広く使用されているスマート医療ロボットは配送ロボットと消毒ロボットです。配送ロボットが担当するのは病院内の物資の配送で、これにより医療スタッフの作業量が軽減され、医療スタッフは患者の治療という重要なタスクに専念できます。また、消毒ロボットは病院内部の環境を自動的に識別して、消毒する経路を提案し、深刻な汚染箇所を検出して消毒することで、病院内の感染源を削減できます。
ADLINKは産業用IoTプラットフォームの開発における長年の経験を生かして、ROS 2ロボットオペレーティングシステムおよびDDSデータ配信サービス技術の研究開発を進め、病院やロボットシステムインテグレータが
自律移動型スマート医療ロボットの開発を加速するのに役立つ、柔軟性、統合性、拡張性に優れたソリューションを提供しています。
認識効率に優れ、接触感染を防ぐAIによる顔認証
多くの国では感染拡大を防止するため、最先端の科学技術を活用し、法的規制の枠内で、感染の可能性の高い人々や感染させるリスクの高い人々の行動の追跡を開始しています。従来の手作業による人物照合ではなく、AIによる顔認識機能をスマートシティシステムに導入することで、人から人への接触感染のリスクは抑えられ、認識効率と精度が向上します。さらに、高度なエッジコンピューティングプラットフォームとAIアルゴリズムを活用すれば、対象者をリアルタイムで照合し、感染拡大を防ぐ社会のセーフティネットを構築できます。
ADLINKはNVIDIA®のエンベデッドGPUの密接なパートナーとして、最新のMVP-5100-MXMおよびMVP-6100-MXMシリーズのエッジコンピューティングプラットフォームにNVIDIA®のQuadro®エンベデッドGPUを採用しています。これにより実現された最高度の計算性能により、
アクセス・コントロール、ターミナル駅などの人の流れの制御、AIによる多数の顔認識処理が可能となり、人の流れを可視化して、ウイルス感染の拡大を防ぐのに役立つ注意を喚起できるようになります。
生産施設の高度な遠隔監視で、作業者のウイルス感染のリスクを軽減
アフターコロナではソーシャルディスタンスや非接触という環境が求められるため、多くの企業がテレワークやデジタル改革によってビジネスモデルを改善する方法を模索し始めています。
工場の作業や生産施設を正常に維持するには多くの場合、工場の作業員および設備業者による定期的な検査やメンテナンスが必要です。とはいえ、感染症の流行時に、作業員が毎回外出して巡回するのは感染のリスクを高めます。
ADLINKのリアルタイムな機械状態監視システムは極めて完成度の高いソリューションで、センシング技術を使ってデバイスの振動、速度、温度、圧力などの状況を検出した後、工場に隣接する現場で直ちに分析したり、クラウドシステムに送信して分析したりできます。これにより、管理者は遠隔地から設備の状態を把握し、ウイルスに感染するリスクを回避できます。
よりスマートな未来に向けて
重要な歴史的事件が大きな変化の引き金になることは少なくありません。感染症の流行が終息すると、これまでなれ親しんできた生活や仕事の様式に様々な変化がもたらされるに違いありません。感染症の拡大を防ぎながらも、いかにしてよりスマートな方法でこれからの世界を迎えられるか未来を思考してみましょう。